ゲームとITサービスの違い ~ゲーム固有の大変さと個人製作者の強み~
現在自作ゲームをsteamで販売するため、レビュー中ですが、次のゲーム作成の計画をはじめました。そこで、ゲーム制作独特の苦しさと、個人製作者の強みに気づいたため、ゲームと、前職で行っていたITサービスの違いについて考えてみようと思います。
ITサービスの特徴 ~コアメカニクスを作る~
ITサービスは、ある作業を、自動化する物です。
一方、当たり前の話ですが、ITサービスを利用する利用者やその利用の経緯等は、我々が生活する世界の中に存在します。
例えばホテル予約サイトについて考えますと、それを使うお客さんはそこに至る経緯を持っています。例えば、友達とスキーをするために、そのスキー場のそばにあるホテルに泊まりたい。また、ホテル側も、自身のホテルの説明や価格、部屋や外観の写真を、自らサイトで登録します。
これらの経緯やホテルの素材、つまりサービスを取り巻く世界は、ITサービス製作者は用意する必要はなく、自然に存在します。
ゲームの特徴 ~コアメカニクスだけでなく、それを取り巻く世界を作る~
一方ゲームは、プレイヤーが生活する世界そのものと、コアメカニクスの両方を作らなくてはなりません。コアメカニクスは、ITサービスに近い、使いまわしの効くシステムです。例えばゲーム中にホテル予約サイトを作るとしたら、それです。ゲーム内のさまざまなホテルを登録したり、ゲーム内のプレイヤーやNPCが、それを使ってホテルを予約できます。
ところがゲームの場合、コアメカニクスを取り巻く世界自体も作らなくてはなりません。プレイヤーのグラフィックや、予約サイトを見る場面、そこに至る経緯。そして、ホテルの外観や部屋の様子、値段など、すべてゲーム製作者が作らなくてはなりません。
ゲームは世界を作りこんで、ボリュームを出すのが大変
ゲームは、この世界を作る、という部分が大変です。バリエーションを大量に用意、世界を作りこむほど、ユーザーのゲームプレイ時間や満足度は増していきます。NPCやステージ、敵について、さまざまな種類の物を用意します。例えば面白い戦闘ルールを思いついて、そのコアメカニクスを作ったとしても、それで遊ぶための大量の種類のステージや敵が必要です。プログラムはある程度使いまわしの効くように作れますが、世界を構成する大量の絵、音、アニメーション等を作る必要があり、そのコストが非常に大きいです。
一方で、ゲームは体験として消費されることのメリットもある
一方で、ゲームは、長期間使用され、たびたび仕様が変更され、システム改定が必要になる、ということは、あまりありません(もちろんバグ改定、調整、DLC等、多少はありますが、それも通常数年程度)。それは、世界そのものを提供するので、その世界が変わる、ということがないためです。
一方、ITサービスはコアメカニクスのみの提供なので、周囲の世界が変わっていき、それに合わせて変更が必要です。例えばホテル予約サイトの場合、税制や旅館法の変更、ユーザの趣味趣向の変化、サーチエンジンの仕様変更、会社の方針変更、労働市場やベンダーが好む言語・ミドルウェアの変化、等です。会社とサービスが続いて、数十年改定を継ぎ足していくと、きわめて複雑で、巨大システムになってしまいます。
個人製作者に向くのは、やはりゲーム
そう考えると、やはり個人に向くのはゲーム制作だと思います。
ITサービスの制作は合理的で、「世界観」や「面白さ」のような、つかみどころの無い感性で勝負する必要がありません。だから、企業のように合理性のみを共通基盤として集まった集団にとって作りやすいですし、彼らの強みが発揮されます。そこと個人で競うのは、難しいように思います。
一方、世界を含むコアシステムを消費してもらうゲームは、リリース後のメンテ量が少ないですし、自分の感性、世界観で勝負できる。大きな会社の創るゲームも、結局はディレクター一人の感性に負うところが大きく、ディレクター交代でシリーズの維持が困難になることも多いです。だから、個人でも勝負できる隙があるように思います。
コメント
コメントを投稿